ファイナンシャルプランナーの資格勉強をしている時、わりと分かりづらく感じてしまうのが、資金計画を立てる際に使う6つの係数です。
「将来のある時にお金がどれだけ貯まっているのか」とか、反対に「将来にお金を準備しておくのに今いくらあればいいのか」といった事を計算するために使うのが6つの係数なのですが、律儀に「名前」と「係数の用途」を暗記しようとするとどれがどれだっけ?とこんがらがってしまいます。
「資本回収係数」とか「減債基金係数」とか、やたらと難しそうな単語を見るとノイローゼを起こしてしまいそうになる人もいるかも知れません。
実を言うと私もその一人です。ついこの間まで「何を言ってるのかよくわからん。日本語で頼む!」とか思ってました。
この記事を読んでくれた人が難しそうに思える資金計画に使う6つの係数を「いや、簡単じゃん」と思って、実際に試験に挑んだ時に確実に1点や2点を取れるようになれるように解説していきます。
この記事を読んで出来ること
こんな感じの頭が痛くなりそうな問題が解きやすくなります。
一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な 毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、( )である。(2021年5月FP2級学科試験 問31)
1) 現価係数
2) 資本回収係数
3) 減債基金係数
1) 現価係数
2) 資本回収係数
3) 減債基金係数
1.余裕資金300万円を20年間、年率2.0%で複利運用する場合、20年後の元利合計額を計算するには、集荷係数を利用する。
2.退職してから30年間、年率1.5%で複利運用しながら、毎年50万円ずつ受け取りたい場合、 退職時点で必要な金額を計算するには、年金現価係数を使用する。
3.10年後に自宅をリフォームする資金500万円を年率1.5%の複利運用で準備したい場合、現 時点で用意すべき手元資金の金額を計算するには、現価係数を使用する。
4.年率2.0%で複利運用しながら、5年後に自家用車を買い替える資金300万円を準備したい場 合、必要な毎年の積立額を計算するには、資本回収係数を使用する。
実は6つの係数は日本語だった!
何言ってるんだコイツと思わずに話を聞いて欲しいのですが、難しい呪文のように思っていた6つの係数の正体は日本語です。
そんなの当たり前のように思えるのですが「単語」と「用途」を結びつけようとすると、そんな単純なことすら忘れがちになってしまいます。
そして日本語ということは、なんでそういう「単語」なのかに「意味」がちゃんとあると言うことです。
6つの係数の名前の意味さえ覚えておけば、どんな時に使う係数なのかも自然と覚えられるようになります。
終価係数
テキストだとやたらと理屈っぽい言い回しをされていますが、言わんとすることは「終わりの価値の係数」です。つまり「最終的に何円になったんだ?」って知りたいときに使うのが終価係数になります。
現価係数
テキストの回りくどい説明なんて置いといて「現在の価値の係数」です。さっきの終価係数の反対で最終的にはこんだけ増えるけど、結局のところ「今はいくらあるんだっけ?」と言うのを確認するのが現価係数です。
年金終価係数
考え方として前の終価係数と同じく「最終的に何円になったのか?」に使う係数です。しかし今回は頭に年金ってついていますよね、コイツが曲者です。でも実は難しく考える必要はありません。
年金って将来もらうために毎月給料からいくらか決まった金額を払うのと、引退しちゃった世代の人たちが毎月いくらか決まった金額をもらうのがありますよね。
「最終的に何円になったのか?」を知りたいので年金終価係数は前者の毎月給料とかから決まった金額を払う方です。
まとめると「積み立てていって最終的に何円になったのか?」を知りたいのが年金終価係数です。
年金現価係数
考え方としては年金終価係数の反対です。「今はいくらあるんだっけ?」と言うのを知りたい現価係数に年金の要素が加わったと思ってください。
今度は引退しちゃった世代の人たちが毎月いくらか決まった金額をもらう方の年金で「決まった金額を取り崩したいけど、そのためには今いくらないといけないの?」と言うのを計算するのが年金現係数です。
普通の現価係数も年金現価係数も要するに「今のお金」を聞いているんだということだけは抑えておいてください。
減債基金係数
「ローンを減らすためにお金を積み立てる」から減債基金係数です。頭が痛くなってきそうな単語ですが「基金」って聞いて「お金を積み立てるんだなー」ってところだけ抑えておけば大丈夫です。
年金終価係数と似たような感じですが、単語の意味さえ覚えておけば「積み立てていったら最終的にいくらになるのか」を知りたい年金終価係数と「決まった金額に向けて積み立てなければいけない金額はどれぐらいになるのか」がごちゃごちゃになる事はありません。
資本回収係数
名前の通りに「資本を回収する」係数です。どこから回収するのかといえば、一番最初にあった元手からになります。
つまり一定期間の間に「元手を少しずつ取り崩したいけど、それがいくらになるの?」って言うのを聞きたいのが資本回収係数です。
構図は年金現価係数と似ていますが「必要な元手」が知りたいのか、「取り崩せる金額」が知りたいのかで違います。「回収」(=取り崩す)のが資本回収係数なんだっていうのを覚えておけば心配ないでしょう。
実際に問題を解いてみる!
それを踏まえて実際に冒頭で出した問題を解いてみましょう。FP2級では具体的な数字が出てくるのですが、計算問題ではないため無視してしまって構いません。
一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な 毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、( )である。(2021年5月FP2級学科試験 問31)
1) 現価係数
2) 資本回収係数
3) 減債基金係数
最終的にいくらになるのか「目標の金額」を聞いているので「今いくらあるのか」を計算する現価係数ではありません。
それでは残りのどっちが正解かという話なのですが、問題文では積み立てする金額を聞いています。
資金回収(=取り崩し)ではないので、残った減債基金係数が正解です。
ライフプランの作成の際に活用される各種係数に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。(2021年5月FP2級学科試験 問3)
1.余裕資金300万円を20年間、年率2.0%で複利運用する場合、20年後の元利合計額を計算するには、集荷係数を利用する。
2.退職してから30年間、年率1.5%で複利運用しながら、毎年50万円ずつ受け取りたい場合、 退職時点で必要な金額を計算するには、年金現価係数を使用する。
3.10年後に自宅をリフォームする資金500万円を年率1.5%の複利運用で準備したい場合、現 時点で用意すべき手元資金の金額を計算するには、現価係数を使用する。
4.年率2.0%で複利運用しながら、5年後に自家用車を買い替える資金300万円を準備したい場 合、必要な毎年の積立額を計算するには、資本回収係数を使用する。
1.手元にあるお金を複利運用したときに将来的に元手と利息の合計金額が何円になるのかを聞いているので「最終的にいくらになるの?」って問題です。なので終価係数が適切です。
2.将来的に取り崩しを考えたときに最初の時に必要なお金を聞いています。取り崩しの元手を聞いているので年金現価係数で適切です。
3.同じく「最初に必要なお金」を聞いていますが、積み立てじゃなく単純に最初のお金だけを増やそうとしています。「現在の価値」だけが問題なので現価係数で適切です。
4.「最終的に必要なお金」を用意するために積み立てをしようとしています。積み立て(=基金)の金額が問題になっているので、この場合に使用するべきなのは減災基金係数です。
取り崩しの金額を考える資本回収係数ではないので、正解の不適切なものは4です。
例はどちらも学科試験の問題ですが、実技試験でも使う係数がどれかを把握しやすくなるので、どの係数を使ったらいいのか悩む時間を減らせます。
まとめ:6つの係数はニュアンスだけ覚えれば良し!
ついテキストに書かれている内容を難しく覚えようとしてしまいがちですが、ニュアンスさえ覚えておけば6つの係数を少なくても2級までは攻略できると思います。
当たり前のようですが、覚え方に気がついたときは「こんな簡単で良かったんだ」と驚かされました。勉強する要領が良い人っていうのは難しくしないような『気づき』が多い人なのかもしれません。
ちょっとした一歩を確実に積み重ねていって、ぜひとも試験の合格を目指しましょう。
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